①電源をオフにする
iPhoneを水の中から救出したら、まず真っ先に電源を切ってください。水は電気を通しますので、回線がショートして基盤をダメにする危険性があります。無事かどうか確かめたい気持ちは解りますが、生還率に直結しますので、必ず実行してください。
勘違いされる方がいらっしゃいますが、電源ボタンを軽押ししてスリープ状態にするだけでは不十分です。機種によって操作方法は違いますが、ボタンを長押しし、画面に表示されたパワーボタンをスライドさせて、完全に電源を切る必要があります。
★パワーボタンを表示させる方法
何らかの理由でボタンを押下できない場合は、「設定」から「一般」へ進み、スクロールした最下部の「システムを終了」をタップすることでパワーボタンを表示させられます。(ただしiOS11以降)
<注意>
電源をオフにしても、たとえば「電源ボタンが押されたかどうかを確める」回路には微量ながら電気が流れています。これを完全に止めることはできません。電源を切っていたのにしばらくしたら電池がなくなっていた、ということがあるのはこの待機電流によります。
したがって、万一内部に浸水した場合、iPhoneが生き延びるかどうかは、ある意味運任せの部分もあります。確率が以前よりずっと上がったとはいえ、濡れどころが悪ければ・・、ということもあり得ます。
②水気をふき取る
水没したiPhoneを救出し、電源をオフにしたら、カバーやアクセサリー類を外して裸の状態にし、タオルやティッシュで水気をしっかりとふき取ります。充電コネクタやイヤホンジャックなど穴の開いた部分は、ティッシュを丸めてこよりを作り、ティッシュが濡れなくなるまで完全に水気を取りましょう。
③SIMカードを取り外す
iPhoneのどの機種でも、SIMカードは本体側面に装着されています。端末を購入した際に箱を受け取ったと思いますが、通常その中にSIMカードを取り出す際に使う「SIMピン」なるものが入っています。あればそのピンを使い、なければ安全ピンやクリップなどで代用しましょう。

ピン先を穴に挿入。
端末に垂直に、強めに押し込みます。
トレイが吐き出されますので、SIMカードを外して水気を取ります。トレイが収納されていたスペースも、ティッシュのこよりでしっかりとふき取っておきましょう。
④常温で乾燥させる
iPhone水没時の応急処置についてGooleなどで検索すると、乾燥剤と共にジップロックに入れて空気を抜き数日保管する、という記述をよく見かけます。これは、決して間違いではないのですが(場合によっては完全な間違いです)、誤解を招く説明なので注意が必要です。
端末内部に浸水した場合、電源を切って自然乾燥させることで、ショートのリスクはかなり減らせます。しかし、ショートと同じくらい気がかりなのが、濡れた部分で急速に進行する腐食です。サビなどが原因で回路の欠損等が生じます。ジップロック作戦では、この点があまり考慮されていません。
後述しますが、濡れたiPhoneを乾かすためにドライヤーなどで端末を温めるのがダメな理由は、水と酸素と熱が、腐食のスピードを劇的に早めてしまうからです。
まず、どうしても都合がつかず、数日修理ができない場合は、修理を待つ間、少しでも乾燥を助けるためジップロックを使うのはありだと思います。
しかし、電源が入らないとか、表示がおかしいとか、内部浸水が決定的な場合は、正直乾燥剤では間に合いません。数日待つうちに腐食が進み、ネジがさび付いて端末を開くことすらできなかった、という事例もあります。
判断がむずかしいのは、耐水性能がある機種だったり、水没の程度が軽かったりして、表示や操作に支障がなく、内部浸水したかどうか判別できない場合でしょう。中に水が入ったかどうかは、端末を開けてみるしか確かめる方法がありません。
ですので、腐食のリスクは承知の上で、どうしても修理にお金をかけたくない場合は、もちろん自己責任で、とりあえず常温でしっかりと乾燥させ、ショートのリスクだけを最低限避けるようにしたら良いと思います。
⑤一刻も早く修理に出す
表示がおかしい、操作できない等、救出時にすでに重篤な症状が出ている場合は、上記の対処を行った上で、一刻も早く修理に出すことをおすすめします。早ければ早いほど復活の確率は上がります。
見や目や操作に異常がなくても、内部浸水が疑われる場合は、一度専門家にチェックしてもらった方が良いでしょう。腐食によって症状が後から出てくることもありますし、端末の寿命が短くなる恐れもあります。早めに洗浄するだけでも効果があります。

ここまでの説明は、トイレや風呂など、真水にiPhoneを落とした場合の対処法でした。しかしiPhoneの水没は、たとえば海、たとえば使用中の洗濯機など、真水以外の場所でも起こり得ます。真水以外の水にiPhoneを落とした場合は、対処の仕方が変わりますので、ここではそれについて説明します。
①まずは電源をオフに
これは同じです。ショートのリスクを回避します。
②真水で洗う
お使いのiPhoneがSEや6以前の耐水性のない機種だったり、7以降の機種でも水没の度合いが深刻だった(たとえば海底にしばらく沈んでいたとか、洗濯機で丸々1回洗ってしまったとか)場合で、救出時にすでに表示や操作に異常が出ていた場合は、意を決して水道水などの真水でiPhoneを洗いましょう。遠慮はいりません。じゃぶじゃぶ洗って、真水以外の水分を端末から洗い出します。
これは、どちらがマシかという話で、真水より、汚れや塩分が多く含まれる真水以外の水の方が、水没後の腐食が早く、かつ深刻になりやすいからです。
乾かすことは考えません。しっかり洗い終わったら、ジップロックに水をため、そこにiPhoneを入れ、ジップロック内の空気をできるだけ抜き、そのままの状態で、できるだけ早く修理店へ持ち込んでください。
「防水」ではなく「耐水」です。iPhoneの公式サイトにも「耐水」という言葉が使われています。
7以降のiPhoneは、防塵・防水性を示す国際規格において、IP68等級に適合しています。これを分かりやすく言うと「水深1mの地点で30分間」は耐えられます、ということです。ということは、ちょっとした水濡れや水没には十分耐え得る、と言って差し支えないでしょう。
ただ、それでもやはり、「完全防水」ではありません。
同じくサイト内に、
「耐水性能は永続的に維持されるものではなく、通常の使用によって耐性が低下する可能性がある」
という気になる記述もあります。まあこの辺の言葉のにごし方は、製造会社としての通常のリスクマネジメントかもしれません。
すなわちappleとしては、「iPhone6以前に比べて明らかに水には強くなったが、水没による故障は保証の対象外ですし、くれぐれも完全防水ではないので、何かあっても責任は取りませんよ、悪しからず」、ということでしょうか。